コロナ禍が呼んだ?2020年秋アニメの超豪華ラインアップ

投稿日: 2020年09月29日

印象深かった「アサルトリリィBOUQUE」キャストの表情

 ブシロードが19日から「ブシロードゲーム祭り」として、オンライン生配信を中心としたイベントを開催している。先週の24日に行われた「アサルトリリィプロジェクト発表会」では、10月1日から始まる「アサルトリリィBOUQUET」の第1話Aパートの先行上映も行われた。

 印象に残ったのが、上映を見ていた「一柳隊」9人のキャストたちの、一様にホッとした表情だった。吉村・Thi・梅役の岩田陽葵は「先日、舞台(9月に行われた「アサルトリリィ The Fateful Gift」)を全員で何事もなく終えることができた。来週からはアニメが始まるということで、ワクワクが止まらないし、感慨深い気持ち」と偽らざる心境を口にした。実は、「アサルトリリィBOUQUET」は7月~9月期の夏アニメとして放送される予定だった。それが新型コロナウィルスの影響で放送延期となり、10月からの秋アニメにスライドされたのだ。アフレコが行われたのもずいぶん前のことで、キャストとしても無事放送にこぎつけられるかどうか、不安があったのは間違いない。そんな気持ちが、会見での9人の表情にあらわれていた。

放送延期組と通常放送組とが混ざったことで話題の作品が集中

 コロナ禍によって、アニメの放送予定はめちゃくちゃになった。緊急事態宣言による自粛期間中だった4月~5月にかけて、春アニメの製作および放送中断が相次ぎ、「放課後ていぼう日誌」や「富豪刑事」などは2~3話を放送しただけで他作品の再放送などに切り替えた。老舗・東映アニメーションも「デジモンアドベンチャー」や「ヒーリングっど♥プリキュア」などが中断された。5月末の宣言解除後、順次延期された作品も放送されてきたが、あおりで放送延期となった夏アニメも多い。

 そして10月からの秋アニメ。放送予定を見渡してみると、時期がずれた作品およびもともと放送予定だった作品が混ざったことで、はからずも超豪華なラインアップが並んだ。

7月期に放送予定だったものが、延期され10月放送開始となった主なアニメは次の通り。

◆放送開始がずれ込んだ今期のアニメ◆


タイトル
放送開始製作キャスト
アサルトリリィBOUQUET10/1シャフト赤尾ひかる、夏吉ゆうこ他
ハイキュー!TO THE TOP(第2クール)10/2Production I.G村瀬歩、石川界人他
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ10/2J.C.STAFF松岡禎丞、水瀬いのり他
ヒプノシスマイク‐Division Rap Battle-Rhyme Anima10/2A-1 Pictures木村昴、速水奨他
魔法科高校の劣等生 来訪者編10/3エイトビット松岡禎丞、水瀬いのり他
池袋ウエストゲートパーク10/6動画工房熊谷健太郎、内山昂輝他
ツキウタ。THE ANIMATION210/7Children’s Playground Entertainment梶裕貴、鳥海浩輔他
アクダマドライブ10/8ぴえろ黒沢ともよ、梅原裕一郎他
おちこぼれフルーツタルト10/12feel.新田ひより、久保田梨沙他

そして、予定通り10月から放送開催される主な秋アニメがこちら。

◆その他の主な今期話題のアニメ◆

タイトル放送開始製作キャスト
ひぐらしのなく頃に10/1パッショーネ保志総一郎、中原麻衣他
呪術廻戦10/2MAPPA榎木淳弥、内田雄馬他
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会10/3サンライズ矢野妃菜喜、大西亜玖璃他
半妖の夜叉姫10/3サンライズ松本沙羅、小松未可子他
ドラゴンクエスト ダイの大冒険10/3東映アニメーション種崎敦美、豊永利行他
ゴールデンカムイ(第3期)10/5ジェノスタジオ 小林親弘、白石晴香他
第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN10/7デイヴィッドプロダクション福圓美里、園崎未恵他
神様になった日10/10ピーエーワークス佐倉綾音、花江夏樹他
ご注文はうさぎですか? BLOOM10/10エンカレッジフィルムズ佐倉綾音、水瀬いのり他
A3!SEASON AUTUMN&WINTER10/12ピーエーワークス、Studio 3Hz酒井広大、白井悠介他
おそ松さん(第3期)10/12ぴえろ 櫻井孝宏、中村悠一他 
D4DJ First Mix10/30サンジゲン西尾夕香、愛美ほか
進撃の巨人 The Final Season12/6MAPPA 梶裕貴、石川由依他

 どれを見ようか、迷ってしまうほどだ。

 アニメの放送時期の設定は、非常に難しい。旬だからといってたて続けにいくと「飽き」というものも出てくるし、制作スケジュールの過密化によるクォリティーの低下の心配も出てくる。だからといって、期間が空きすぎると忘れられてしまう。劇場版アニメでも『劇場版「Fate/stay Night[HF]Ⅲ.Spring Song』は、物語の中の時制、およびキャラクターの間桐桜にちなんで時期的に桜が咲く春、3月の公開予定が4月、さらには8月までずれ込んだ。「鬼滅の刃 無限列車編」も、3月の予定が10月と半年以上も延期された。

 しかし、これもコロナ禍がもたらしたいい方向での“副産物”かもしれない。制作サイドとしては、年間のスケジュールは決まっているし、広報・宣伝の手間などを考えても、放送延期というのはいいことではない。しかし、クールによっては正直ラインアップが薄い時期もあったし、特定のアニメに人気が偏りすぎて、良作が埋もれてしまうような状況もあった。そんな中、放送延期組と本来の秋アニメが揃って、何が“覇権”をとるのかわからないような良作、期待作揃いというのはいいことだろう。

コロナ禍は「新しいアニメ界」におけるモデル構築の好機となるか?

 長年アニメを見てきた立場として言わせてもらうと、80年代は作品数こそ少なかったが、1年、あるいは最低2クール(半年)かけて作ったアニメが多かった。90年代~2000年代にかけて、深夜アニメの勃興につれて1クールずつ数多くの作品を作るスタイルが浸透してきたが、正直、作品が多すぎて追いきれないというのもあり、また粗製乱造気味に感じる部分もあった。

 かつては、アニメで得た人気をDVDなど映像ソフトの売り上げにつなげて製作費を回収し、声優イベント、グッズ展開などでマネタイズして収益モデルとするのがビジネスモデルだった。しかし、今ではサブスクリプションによる配信が充実し、そちらが主流となったこともあって、映像ソフトを買わせる戦略は縮小傾向。かつて12話を2話ずつ6巻に分けて売っていた映像ソフトも、今では4話ずつ3巻にまとめ、1巻あたりの単価を上げる方向へシフトしつつある。

 また、制作側も最近目立っていた中国・韓国等の製作スタッフの参加がコロナ自粛期間中ままならなくなり、それも放送延期が続出した一因になっていたとも聞く。中国発のアニメ・ゲームも勃興しつつあるが、アジア各国と日本のアニメ製作も、一層の質的、待遇的な向上や新しいビジネスモデルの構築、マネタイズを目指すいいきっかけになるのではないか。

 今回のコロナ禍も、今後の「新しいアニメ」を考える方向にいくのならば、決して悪いことではないのかな…秋アニメのラインアップを見ながら、そんなことを思ったりした。各アニメのスタッフの皆さんには、健康には気をつけて良作を世に送り出してほしいと思う次第である。

 しかし、見たいアニメ多すぎるなこれ…ウチのHDDレコーダーがパンクするのは間違いなさそう。アニオタにとってはいいクールになりそうではあるけどね。

◆編集担当N(へんしゅうたんとうえぬ)スポーツ報知記者を経てフリーのサブカル系ライターに。「初音ミク」「魔法少女まどか☆マギカ」「ラブライブ!サンシャイン!!」「BanG Dream!」等の特別号編集に参加。