麻枝准とP.A.WORKSが送るオリジナルアニメ「神様になった日」への期待

投稿日: 2020年11月10日

Text by 山田涼矢

 「神様になった日」は、「Angel! Beats!」「Charlotte」に続く麻枝准とP.A.WORKSによる3作目のオリジナルアニメである。

 麻枝准は株式会社VISUAL ARTS/keyのゲームシナリオライターだ。主な作品は「CLANNAD」、「リトルバスターズ」など。「笑い」と「泣き」を取り入れた恋愛アドベンチャーゲームのシナリオを書いており、他にも「Angel! Beats」では、作詞・作曲も行っている。そしてP.A.WORKSは、「花咲くいろは」や「SHIROBAKO」などオリジナルアニメを多く手掛けている富山のアニメ制作会社である。背景や風景の色使いをとても鮮やかに描く製作会社の一つだ

 「Angel Beats!」は、死後の世界と少年少女たちの話だ。思春期の学園生活をまともに過ごせなかった人たちが集まる学園を舞台としたアニメである。

 数話目で明かされるキャラクターの過去の描かれ方にとても感動を覚えた。深夜アニメを見始めた時期で思い出補正もあり、とても良い印象を抱いた作品であった。

 しかし、振り返ってみてみると一つ大きな気づきがあった。それは、個性豊かなキャラクター全ての背景が描かれなかったことである。最終盤は個性がバラバラでも仲の良いほとんどのキャラクターたちの過去は描かれずに終わる。その後の終わり方は主人公とヒロインに焦点をあて良いかたちに終わったが、自分の好きなキャラクターの過去はわからないまま終わった。全員かはわからないが、後のメディア展開で過去が明かされているキャラクターもいるらしい。

 自分は、アニメ内で主要メンバーの過去が明かされないことを残念に感じた。

 理由は、過去に何かがありこの学園に来ているため、過去を明かすことによりキャラの深みが出ると考えたからだ。舞台を構成する一つの要素を使い切れていないと感じた。

 2作目である「Charlotte」では特殊能力と青春を掛け合わせた独自の世界観を構築していた。中盤で大きく物語が動き、主人公は大きな責務を背負うことになる。

 展開していく物語は壮大なものとなりメインキャラクターが変わる。そして、主人公の秘密などが明かされていくが、葛藤についていけなかった。

 前半から終盤前までは毎週続きを気にしていた作品であったがために最後の主人公の覚悟についていけなかったことが残念であった。

 この二作品、自分はどちらも毎話楽しく見ていたのは事実である。しかし「Angel Beats!」は個性の強い多くのキャラクターを魅せている一方で生前の過去の話はなく、描き切れていない。また、「Charlotte」は最後がスピーディーになりすぎたと感じた。

 おそらく世界やキャラクターに時間をかけて丁寧に描けるアドベンチャーゲームと、厳しい時間制限の中ですべてを描き切るアニメとの大きな違いなのだろう。物語とキャラ、世界感を厳しい制約時間内で描き切れていないのである。制限時間の中でキャラと世界のすべてを描くこれがオリジナルアニメの一番難しいことの一つなのだろう。

 これらを踏まえて現在放送されている「神様になった日」について少し掘り下げよう。

 神様になった日の公式サイトやPV(9/30)を見ていく。

 ▼「神様になった日」公式サイト

https://kamisama-day.jp/

 ▼「神様になった日」アニメPV

 麻枝准のメッセージでは、「(前略)自分は「Angel Beats!」や「Charlotte」で、戦闘やバンドや異能力といったエンターテインメントとして放り込める要素はすべて放り込む、というゲーム制作の時とは違うシナリオを書いていました。その「原点回帰」の意味について特に深く話し合ったわけではないのですが、自分なりに「Kanon」や「AIR」の頃のような、ただ純粋に感動できるお話を求められているのだな、と解釈し、脚本を書き上げました」と書かれており、前の二作品の要素を大きく省いていることがわかる。

 また、CMやPVからは少年少女たちの将来を描いていく中で何かが起こり巻き込まれていくのだろう。

 麻枝准が原点回帰して作りあげられた、世界感やキャラクター間の絆のすべてをP.AWORKSが描くアニメで見せることができれば凄いものが出来上がるだろう。

 最後に、麻枝准の「感動」を意識した脚本と美麗な絵を描くP.A.WORKSが「CLANNAD」に迫る作品を残すことを期待したい。そして多くの人が笑い、泣き、楽しみ、感動するアニメを作り続けてほしい。

 ▼「神様になった日」「Charlotte」「Angel Beats!」公式ツイッター

 ◆山田 涼矢(やまだ・りょうや) 福井県に住んでいる20代前半の男子大学生。「ランウェイで笑って」と「トニカクカワイイ」にドはまり中。最近はGawr Guraで英語をリスニングしている。